“夜中の3時なんて想像もつかない、と言う人もたくさんいるかもしれない。わたしも昔はそうだった。3時はオールナイトニッポンの終わる時間で、そこから先は何の娯楽もない深遠だった。そこに取り残されたら、朝が来るまで孤独に過ごさなければならない。ラジオの生放送は、自分以外の起きている人を確認する唯一の手段だった。本を読んだり、音楽や録音した別の回を聴いたりするよりは、心強さが格段に違った。それに、次の日が休みならまだいいけれども、平日だと最悪である。学校に行かなければならない上に、眠れなかったとなると、日中にどんな悲惨なことになるのかは目に見えている。 そんな心細かった時期と比べると、今は図太くなったなあと思う。午前3時に起きている人なんていくらでもいることを知ったし、いちいちそのことを考えなくても、平気で録画したドラマを観たり、手芸の本を眺めたり、仕事をしたりしている。さすがに、外を出歩いたりはしないけれども、この世界に遅い時間などないのではないかという気がしてくる。”
— まぬけなこよみ 津村記久子 (via tsavorite)